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依頼主 年神 出現条件 年神を最終段階へ進化させる クリア条件 以下の神様の親密度を上げる年神(最終進化) 親密度50 成功報酬 丸もち 依頼時 アンタのこと好きだから、ずーっと一緒にいたいんだ! クリア時 ありがとな!…俺がおじいちゃんになって、またタマゴになってもそばにいてほしいんだぜ!
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"アラサー世代のアイドルのイメージといえば、モーニング娘。を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 私もその中の一人で、アイドルといえばAKB48よりモーニング娘。のイメージが強いです。 そんなアイドルの時代を築いた彼女たちも、今年で15周年を迎えるのだそう。 メンバーの入れ替わりがあったので、初期のメンバーは残っていませんが、15年も続くだなんて想像もしていませんでした。 最近になって新メンバーが増え、新しく生まれ変わったモーニング娘。 また新しい風を吹き込んでくれればと期待しています。"
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(1/23) 気がつくと、『彼』はチョコボに生まれ変わっていたです。 チョコボというのは、ヴァナディールという世界の中で、 乗用として広く用いられている大型の鳥のこと。 鳥と言っても、空を飛ぶことは出来ないのですが、 ダチョウのように素晴らしい早さで走る頑丈な二本の足を持ち、 人になついて、よく言うことを聞くために、 我々で言う馬と同様に、人が乗るために飼育され調教されているのです。 ここに、一匹のチョコボがサンドリア王国の飼育所で生まれました。 『彼』は……そのチョコボは中でも極めて小さな体の品種だったのですが、 一緒に生まれた兄弟達の中でも、ひときわ小さな体つきをしていました。 その飼育所では、人が乗るためのチョコボが飼育されているのですが、 あまりに体が小さいので使い物にならないのでは、と危ぶまれていたのです。 ヴァナディールに住む人たちには様々な種族がありました。 サンドリア王国に住む長身のエルヴァーン族、 バストゥーク共和国に住む、恐ろしく大きな体をした大男ばかりのガルカ族と、 (2/23) ヒュムという我々に良く似た種族。 そしてウィンダス連邦国には、ヒュムよりも幾らか小さいだけのミスラ族に、 大人でも我々の子供より小さなタルタル族。 いろんな違いがあるのですが、一番の特徴は体の大きさの違いです。 人々がチョコボに乗るには、それぞれの体に応じた大きさのチョコボが必要だったのです。 小さすぎるチョコボに乗るとすぐに乗り潰してしまったり、 大きすぎるチョコボではもてあましてしまうからです。 『彼』とその兄弟達は、一番小さなタルタル族が乗るための品種として育てられました。 しかし、あまりに小さな体の『彼』では、タルタル族でも乗せて走るのは無理かも知れません。 そんな『彼』を見て、飼育係は言いました。 「どうして、こんな子がうまれてしまったのだろう。母鳥にはちゃんと普通のエサをやったのに。」 「いや、何年かごとにこんな奴が生まれてくるんだ。しかたないさ。」 「でも、この子をどうするんだ。これでは乗り物として使えやしない。」 「羽根を引っこ抜けば、弓矢の矢羽根ぐらいには使えるさ。」 「バカを言うな。体が小さいから羽根だって小さくて使えない。」 (3/23) 「心配要らんよ。物好きな金持ちがペットにするといって買ってくれるから。」 そんなことを言って、飼育係は笑いあいました。 そして何年か経ち、『彼』と兄弟達は成長して人が乗るための調教を受けることになりました。 しかし体の小さな『彼』は、いくら成長しても兄弟達に比べて小さいままでした。 そんな訳でタルタル族専門のチョコボ調教師を呼び寄せて、どうするか考えることになったのです。 その調教師とは、ウィンダス連邦国からやってきたタルタル族の一人でした。 タルタル族専用のチョコボはタルタル族に、という訳です。 「ふう、はあ、ごめんよぉ。遅くなっちゃった。」 そんなふうに、忙しそうに小さな小さな体のタルタル調教師がやってきました。 忙しいのは無理もありません。タルタル族の調教師は数がとても少ないのです。 チョコボの産地にほど近いサンドリア王国のエルヴァーン族ならば チョコボの扱いに慣れているので調教師は沢山いるのですが、 遠く離れたウィンダス連邦国のタルタル族はチョコボの飼育に慣れていないのです。 タルタル族の調教師が少ないのは無理のない話で、 人手が少ないだけに『彼』が忙しいのも無理はありません。 (4/23) 「ああ、この子じゃダメだよ。体に合う鞍(くら)だって有るかどうかも判らない。」 タルタル調教師は『彼』を一目見ただけでそう言いました。 その様に簡単に話が決まってしまい、『彼』を寝床に連れて行こうと引っ張っていた時のこと。 後ろから声がしました。 「ずいぶんじゃないか。体が小さいからといって、その子を除け者にするつもりかい?」 そう言ったのは、サンドリア王国の一人の騎士でした。 しかし長身のエルヴァーン族にしては、ずいぶんと小さな体つきをしていました。 それでも、ヒュム族やミスラ族ぐらいの大きさではあったのですが。 飼育係達は、相手が騎士と見て丁寧に挨拶しました。 「おお、これは騎士殿。このような所にお越しくださるなんて。装備がよごれてしまいますよ。」 「かまやしないさ。どうせ、あちこち走り回っていつでも泥だらけなんだから。 それに我々騎士にとってチョコボは大事だからね。 大切な戦友となるかも知れないのだし、チョコボの成長ぶりを見ておきたいと思ってね。」 笑ってそう言いながら、『彼』の頭をなでながら言いました。 「一度で良い。この子にもチャンスをやってくれよ。 我々と共に働くチョコボとして生まれたのに、小さいからと言って除け者にされては可哀想だ。」 王国の騎士にそのように言われてはたまりませんが、しかし調教師としての責任もあります。 (5/23) タルタル調教師は、しぶしぶ言いました。 「判りました。でも、試してダメならお払い箱です。あなたが騎士なら我々も調教師、 立派に働けるチョコボを送り出す責任というものがあるのですから。」 騎士は笑って答えました。 「もっともだ。ではしっかり頼むよ。」 そして再び『彼』の頭をなでて言いました。 「頑張れよ。他の人より何かが劣っていたとしても、役に立てることが必ずあるはずだから。」 そうして騎士は去っていきました。 その騎士もまた、体つきが小さいために騎士になるのは無理だと言われていましたが、 王国を守る役目に就きたいという一心で、大変な努力をしたのです。 そして剣を振るって戦うことは他の人より劣っていたのですが、 その他の仕事を誰よりも励み、その努力が認められて遂に伝令や諜報専門の騎士として、 遂に騎士隊の一員として認められたのです。 だからこそ、体が小さなチョコボの『彼』を放っておけなかったのでした。 さっそく、新米チョコボ達の調教が始まりました。鞍を背中に付けて人を乗せることから始まります。 『彼』の兄弟達は、調教師達の手によって次々と鞍を取り付けられていきました。 (6/23) しかし、体の小さすぎる『彼』には、ぴったりと合う鞍がありません。 今から『彼』に合う鞍をあつらえるのは大変なので、できるだけ小さな鞍を無理矢理に縛り付け、 やっとの思いで人が乗れるようになりました。 そしてタルタル調教師が試し乗りをしてみます。 人を乗せることは『彼』らにとって初めてのことなので、 初めての重みにあたふたとするものや、嫌がって振り落とそうとするものも居たのですが、 そこは調教師が見事な腕前を見せて、次々と乗りこなしていきました。 そして、いよいよ『彼』の番になりました。 案外と素直に調教師を背中に乗せたのですが、走り出そうとすると何だかふらふらとしています。 自分の頭をなでてくれた騎士のためでしょうか、 必死に頑張って走ろうとするのですが、やっぱり普通に走れずに最後には倒れてしまいました。 「やっぱりダメだな。最初からこれでは人を乗せて走り回るなんてできっこない。 これ以上、調教を続けるのは可哀想というものだ。」 そう言って、鞍を外されて本当にお払い箱となってしまうことになったのです。 『彼』にはそのことが判ったのでしょうか。なんだか悲しそうな目つきをしていました。 (7/23) 次に、新米チョコボを外で走らせることになりました。 『彼』の兄弟達を数珠つなぎにして、ベテランのチョコボがその先頭に立ち、 それにタルタル調教師が乗り込みます。 誰も乗せない状態ですが、外の世界を走ることに少しでも慣れさせよう、という訳です。 そうして、タルタル調教師は『彼』を除くチョコボ達を連れて出発しようとしたとき、 ふと思い返して、『彼』を連れ戻して列の最後につなぎました。 本当のところ、『彼』をこれ以上調教しても意味が無いのですが、 このまま外の世界を知らずにいるのは、あまりにも気の毒だと思ったのです。 お払い箱にしようと言い出した調教師だったのですが、チョコボに対する深い愛情を持っているのです。 でなければ、調教師として勤まるはずは無いのですから。 そうして、調教師は新米チョコボ達を連れてジュノ公国へと目指すことになりました。 ジュノ公国とは、先に紹介したサンドリア、バス、ウィンダスの中心にある小さな国で、 多くの旅人が訪れる所でした。 新米チョコボにとってはいきなりの遠乗りですが、これから先に一番多く訪れる場所となるのです。 だからこそ、真っ先にその道を慣れさせる必要があるのです。 (8/23) さっそく調教師はサンドリア王国の城門から外に出て、ロンフォールの深い森を走り抜けていきました。 調教師はチョコボを右に左に巧みに操り、あっというまに森を出て、 広い広いラテーヌ高原へと向かいます。 そしてジャグナー森林に向かうまでの長い道のりの中で、 なんと調教師はこっくりこっくりの船を漕ぎだしてしまいました。 無理もありません。忙しい仕事の繰り返しで、調教師は疲れ切っていたのです。 調教師から何も指示が来なくなったので、チョコボ達は走るのを止めてしまいました。 このままでは立ち往生です。新米チョコボ達はどうしてよいか判らないし、 先頭のベテランのチョコボも指示が無ければ走ることは出来ません。 その時です。 列の最後にいた小さな『彼』が様子がおかしいと思ったのか、 先頭の調教師の様子が見えるところまでやってきて、 そして調教師が居眠りしているのが判ったのか、 一鳴き、二鳴きして、それでも調教師が起きないと見るや、 ぐいっと列を引っ張って走り出しました。 (9/23) つながれている兄弟達はあたふたと慌てましたが、 訳も判らず引っ張られるままについて行く他はありません。 調教師が乗っているチョコボは例えベテランとは言っても、 黙って乗り手の言うことを聞くしか知らないチョコボだったので、 結局うながされるままについて行ってしまいました。 しかし、『彼』は何処に行こうとしているのでしょう。 やってきたサンドリア王国の城門に帰るつもりでしょうか? いえ、まったく方向は逆でした。 そのまま向かっていた方角に向かってどんどん走り出し、 暗く深いジャグナー森林へと、迷わずに駆け込んでいきました。 うっそうと生い茂る木々の中、猛獣達がうろつく森を恐れげもなくどんどん走り抜け、 とうとう森を抜けたかと思えば、お次は小高い丘が波打つバタリア丘陵。 始めて来る者には方角すら判るはずもないのに、まっしぐらに迷うことなく突き進みました。 そしてとうとう、ジュノ公国の大門へと辿り着いてしまったのです。 (10/23) ジュノ公国にあるチョコボ厩舎で、扉を叩く音がするので飼育員が表に出てみると、 そこに辿り着いたチョコボ達を見て、飼育員はびっくりしてしまいました。 なぜなら、そこに待っていた数珠つなぎになったチョコボ達はいいとして、 当の乗り手であるタルタル調教師はぐっすり眠ったままだったのですから。 そのタルタル調教師がこっぴどく叱られた話は良いとして、 指示もされずにジュノへと辿り着いたチョコボ達のことに驚かされました。 最初はベテランのチョコボがジュノまで来たのだと言われていましたが、 人を乗せている状態で勝手に目的地に辿り着くことはありえないし、 なにより先頭に立って扉を叩いたのは、体の小さな『彼』だったのです。 そうして、いろいろと調べられることになったのですが、 やがて『彼』は指示を受ければ乗り手に操られなくても、 いろいろな所へと言われた通りの場所に辿り着くことが出来ることが判ったのです。 人の言葉が理解できるだけでも大変なことですが、 行ったことがあるはずもないジュノ公国まで辿り着き、 チョコボ厩舎の場所までも知っていたことに人々は大変おどろかされました。 (11/23) 「不思議だな。王国の外に出ることなど、あの時が初めてだったはずなのに。」 「もしかしたら、生まれるときに母親の知識を受け継いだのかな。」 人々はいろんなことを考え、議論しましたが、 しかし、『彼』が生まれ変わりだと言うことは誰も思いつきませんでした。 そうして、『彼』はいろいろと試されることになりました。 一言、「あそこへ行け」と言えば、ちゃんと辿り着くのは判っていましたが、 「ここへ行って、次はそこ」という複雑なこともちゃんと理解できました。 そしてタルタル族よりも軽い荷物であるならば、 背負って送り届けることが出来ました。 「いいことを思いついたぞ。こいつに手紙や荷物を載せて宅配便をやらせよう。」 「でも、信用しても大丈夫かな。」 「なに、弁当を届けたり、重要ではない手紙を送る分には大丈夫さ。」 そんな風に調教師や飼育係は話し合い、 『彼』には宅配便としての仕事をさせることになりました。 そのことが『彼』にも伝わったのでしょうか。 とても嬉しそうに、そして張り切っているように見えました。 (12/23) そうして『彼』の仕事が始まりました。 最初のうちは飼育係が一緒に走って、ちゃんと仕事が勤まるかどうかを監督していましたが、 実は『彼』はどんなチョコボよりも早く走ることが出来たのです。 そして飼育係はどんどん引き離されていくのですが、 『彼』は時々立ち止まり、飼育係が追いつくのを待ってから先へと進みました。 これでは、どちらが監督をしているのか判りません。 いよいよ本格的に仕事が始まれば、もう『彼』の足を引っ張るものも居ないわけで、 ますます素晴らしい早さで荷物を送り届けることが出来ました。 お昼ご飯として朝のうちに作ったお弁当は、昼にならないうちに届けられ、 煮えたばかりのスープは暖かいまま、焼きたてのパンは熱々のままでした。 お弁当の他にも手紙や小さな贈り物なども『彼』は運びました。 なにより小さな『彼』の姿が愛らしいので、 『彼』からお誕生日のプレゼントを受け取った子供達は大変よろこびました。 そうして『彼』はサンドリア王国で大変な人気者となり、 宅配便の予約は来月までいっぱいになってしまうほどでした。 (13/23) 「すごいじゃないか、おチビさん!」 この前の体の小さい騎士がやって来てそういいました。おチビさんとは『彼』のことです。 「おチビさんの評判を聞いてやってきたんだ。こりゃあ俺の仕事まで取られちゃうかな。」 そんなことを言って笑いました。 そうして、ちゃんと『彼』に合う仕事を見つけた調教師達を褒め讃えました。 その騎士が「仕事を取られる」とは言ったものの、もちろんそれは冗談で言ったのです。 実は、普通の人間にでも簡単には任せられない重要で危険な仕事をしていたのです。 主に良く似た伝令などの仕事ではあったのですが、 ジャグナー森林の奥地にあるサンドリア王国の宿敵、オークという怪物共の陣地に入り込み、 様子をうかがっては報告するという、命がいくらあっても足りないような仕事をしていたのです。 そのオークというのは一匹ずつの体つきが大きく、 手に手に武器を持ち、軍隊のようなものを組織していて簡単には攻め滅ぼすことが出来ません。 そして虎視眈々とサンドリア王国を滅ぼそうと狙っているのです。 だからこそ、もしオーク共に怪しげな動きがあれば、 国元に報告をして対策を取らなければなりません。 (14/23) そして、ついにその時がやってきました。 「騎士隊は広場は集まれェーッ!!」 「隊列を組め!全員、装備を確認せよッ!」 「戦(いくさ)だ!戦が始まるのだぞ!もたもたするな!」 そんなふうに号令やら叫び声やらを上げながら、 大勢の騎士たちがサンドリア王国の大広場に集まりごったがえしました。 オーク共が兵隊を集めてサンドリア王国に攻めかかろうとしているので、 こちらからも打って出て、迎え撃たなければならなくなったのです。 サンドリアのチョコボ厩舎も大変な騒ぎでごったがえしました。 騎士達と同様に、彼らが乗るためのチョコボ達もまた出動しなければならないのです。 エルヴァーン族用、そして同じく体の大きなガルカ族用のチョコボまで繰り出され、 後には体が小さな種族のためのチョコボしか残っていませんでした。 『彼』も同様でした。 こんな大変な戦では、『彼』の仕事などあるはずもありません。 (15/23) そんな時、またしても例の体の小さな騎士が現れました。 「すまない!ヒュム用か、ミスラ用でも構わないから用意してくれないか! 俺にはお仕着せのチョコボでは体が大きいだけで役に立たない。 一番、軽やかで足が速い奴が欲しいのだ!」 「おお、騎士殿!それなら良い奴がいますよ。さっそく連れてきましょう。」 そういってあたふたと飼育係が用意を始めました。 もちろん、『彼』のことではありません。 本当のところ、こんな時こそ『彼』が騎士を乗せることが出来るなら、と思うのですが。 飼育係がチョコボを用意している暇に、 騎士は『彼』がこちらの様子を見ていることに気がついたので、近づいて頭をなでながら言いました。 「心配するな。俺たちの手でサンドリア王国を守り通してみせるからな。」 そして用意されたチョコボに飛び乗り、 「似たような奴をあと二、三匹ほど確保してくれ。 ずっと走りっぱなしになるだろうから、 どんどん乗り換えなければチョコボをつぶしてしまう。」 そう言いながら、そのまま走り去ってしまいました。 (16/23) 騎士隊が出動した後も街はまだまだ騒がしく、人々の忙しさは大変なものとなりました。 増援の騎士隊を組織したり、食料や予備の弓矢なども後から後から送り出さなければなりません。 そんな騒ぎの中、 タルタル調教師の世話を受けながら、『彼』とその兄弟達はおとなしくしていました。 『彼』はあくまでも平和なときの宅急便である訳だし、 兄弟達も又、たまに訪れるタルタル族の旅人のためでしかありません。 こんな大変な戦の時では、できる仕事はありませんでした。 が、ある時です。 突然、『彼』は柵を跳び越えてチョコボ厩舎を飛び出していきました。 「こらまて!いったい何処へ行こうというのだ!」 飼育係は『彼』を止めようとしたのですが、 いつもは素直に言うことを聞いていたのに、このときばかりは誰が止めようとしても駄目でした。 そして城門が開いている隙をくぐり抜け、ロンフォールの森をすさまじい早さで駆けていきました。 そして『彼』はラテーヌ高原を駆け抜け、 ジュノ公国へと向かう道のりと同じように、ジャグナー森林を目指して走り出したのです。 (17/23) しかし、今度はジュノ公国を目指している訳ではありませんでした。 道なりに走っていたかと思うと、突然に道を外れてある方角へと向かいました。 そして向かった先は、サンドリア王国の戦の相手であるはずの、 「ダボイ」という恐ろしいオーク共の陣地だったのです。 それまでの道のりは、すでに恐ろしい戦場と化していました。 大勢の騎士達が雄叫びを上げながら突き進み、恐ろしい形相のオーク達と戦っています。 いくつものオークや騎士達の死体が地面に転がり、森林の木々さえもが赤い返り血に染まっていました。 そんな地獄のような森の中を小さな『彼』は駆け抜けていきました。 そして、いよいよオークの陣地「ダボイ」の近くまで来たところで、 ついに『彼』は見つけました。 あの小さな騎士が体に何本もの矢を受けて、うつぶせに倒れているのを。 「う……あ……あ……」 騎士は、そんな言葉にならぬうめき声を上げました。 まだ死んではいません。しかし、彼の命が尽きるのは時間の問題でしょう。 そして、かろうじて動く顔を持ち上げ、『彼』が側にいることに気がついたのです。 (18/23) 「う……こ……これ……これを……」 そして、最後の力を振り絞り、手首にはめた腕輪を引き抜き、ふるえる手で『彼』に渡そうとしました。 それは彼の血のように赤く染められた腕輪でした。 「こ……これを……あ……ああ…………」 もう何も言うことが出来ませんでした。騎士に出来ることはそれが精一杯でした。 その腕輪をどうすればいいのかを言うことも出来ず、とうとう騎士は力尽きてしまいました。 ですが、『彼』は気がつきました。 自分が何をしなければならないのか、ということを。 『彼』は彼の手からくちばしで腕輪をくわえ、すぐさま走り出しました。 騎士の死を弔ったり嘆いたりすることなく、ものすごい勢いで走り出しました。 国元へと、その腕輪を持って帰るつもりでしょうか。 いえ、あの時と同じくジュノ公国の方角を目指して、全く逆の方角を目指したのです。 この前と同じ道順を辿って走り抜け、またしてもジュノ公国の扉を叩くのかと思えば、 今度はそれをしようとせず、さらにジュノ公国の横を通り抜け、 遙か彼方を目指して走り続けていきました。 (19/23) 次には、本当に始めてきたはずの荒れ果てたソムログ原野を突き進み、 荒涼たるメリファト山地を一気に駆け抜け、 タロンギ大峡谷の谷間をすさまじい勢いで走り続けました。 その走る速度はこれまでにないほど速く、 熟練の旅人でしか知らない近道を迷うことなく選び出し、 誰にもなしえなかったような短い時間で、 ついにウィンダス連邦国が君臨する、 緑なすサルタバルタの草原へと到着したのです。 ウィンダス連邦国の大門へと辿り着き、 そこに居る番兵めがけて、ずっとくわえてきたくちばしの腕輪を乱暴に投げつけ、 なんと『彼』は大声で叫びました。鳴いたのではありません。人間の言葉で叫んだのです。 「緊急!緊急!我がサンドリア王国の宿敵、ダボイのオーク共が、 恐ろしい魔術を用いて、地獄の冥界から恐ろしく巨大な化け物を引きずり出してきた! もはや、我が騎士隊の剣は通用せず、サンドリア王国は存亡の危機にある! 至急、貴国のお力をお貸しいただきたい!こうしている間にも王国の騎士達は倒れているのだ!」 (20/23) そして……『彼』はその場で、ばったりと倒れてしまいました。 あわてて番兵が調べてみると、もはや彼は絶命していたのです。 サンドリア王国を出てから、遙か彼方のウィンダス連邦国までの長い長い道のりを、 ほとんど休みも取らずに駆け抜けたのだから無理もなかったかも知れません。 『彼』は騎士の腕輪を届けるために、全ての力を尽くしてしまったのです。 ウィンダス連邦国の番兵達は、その成り行きにぼうぜんとしました。 そして、チョコボが言葉を話すという不思議な出来事に驚き、 チョコボが喋ることなど真に受けて良いものかと悩みました。 ですが、それも一瞬でした。 なぜなら、彼が持ってきた腕輪は本物だからです。 それこそヴァナディールの各国で通用する、緊急時のための伝令を示す本物の腕輪だからです。 すぐさまウィンダスの最高機関である元老院にまで報告され、 緊急事態と見て面倒な会議を行うこともせずに、 すぐさまサンドリア王国を救うため出動命令が下りました。 しかし、なぜ本国のサンドリアではなくウィンダスまでやってきたのでしょうか。 (21/23) その答えは簡単でした。 実は、タルタル族の小さな小さな体には優れた魔法の力が秘めており、 ダボイのオーク共が呼び出した怪物を沈めるには、 ウィンダス連邦国に頼る以外には考えられなかったのです。 そして魔法の力を持って、ウィンダスが誇る魔法使い達は次々とジャグナー森林、 そしてダボイを目指して飛び立ちました。 その頃、ダボイ、そしてジャグナー森林では、 呼び出された恐ろしく巨大な化け物が、オークに操られるままに木々を踏み荒らし、 サンドリア王国目指して歩いているところでした。 もはや騎士達のほとんどが倒され、あるものは恐ろしくなって逃げ出しました。 サンドリア王国は、ほとんどの騎士が出動してしまっていたため、 その怪物が辿り着けば、王国の命運はそれで尽きたことでしょう。 しかし、タルタル族の魔法使い達が次々と到着して怪物を取り囲みました。 そして彼らは協力して魔法の呪文を唱え、怪物が動けないように魔法の力で縛り付け、 さらに恐るべき魔法の秘術をもって怪物を倒しました。 はるか天空から怪物に負けない巨大な岩を投げおろし、怪物を下敷きにしてしまったのです。 (22/23) こうして、この戦の幕は閉じられました。 まだまだ沢山のオークが生き残っていたのですが、 せっかく呼び出した怪物を倒されてしまったし、 それまでにサンドリアの騎士達にかなりの痛手を受けていたのです。 さらにウィンダス以外の国からも後から後から救援が駆けつけ、 もはやオーク共は手も足も出ない状態となりました。 その後のこと。 サンドリア王国のでは、この戦いで犠牲となった騎士達の弔いが行われました。 犠牲となった騎士達はとても大勢だったのですが、一人残らず名前が読み上げられ、 人々はその犠牲に感謝し、そして涙しました。 そして最後に、あの体の小さな伝令である騎士と、 そしてチョコボの『彼』の功績が讃えられました。 ウィンダス連邦国の救援があったからこそ王国が守られたの訳なのですが、 怪物の存在を探り出した騎士と、その伝令の役目を果たしたチョコボの『彼』が居なければ、 既に王国は滅んでいたかも知れません。 (23/23) そして、人々は語り合いました。 チョコボが人の言葉を話して、伝令の役目を果たした不思議な出来事について。 ある者はチョコボの必死の思いが言葉となって現れたのだ、と。 また、ある者は騎士の魂だけがチョコボにのって、ウィンダスまで辿り着いたのだ、と。 そして、ある者は騎士が使命を果たすため、チョコボに生まれ変わったのだ、と。 しかし、それは一番考えにくいことです。 過去に向かって生まれ変わる、などということは理屈からして間違っています。 騎士と『彼』は似ていることが多いので、そう考えるのも無理はありません。 ともかく、騎士と『彼』は同じ墓に弔われ、 『彼』らの功績を語り継ぎ、 『彼』らが小さな体で元気に働く姿を思い出しては、 人々は涙した、ということです。 (完)
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次、生まれ変わるとしたら? 天寿を全うしたあなたは神に、次のあなたの人生を選びなさいと言われました。 次のうち、どれを選びますか? 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 人類始まって以来の超パワー・超スピードの持ち主で、野生動物のパワーにも勝るほどの怪物。知力はないが、力だけですべてを押し通そうとするほどのわがままで、周りは大迷惑だが、本人は悦に浸って生きる 6 (24%) 2 愛する人に愛される人 4 (16%) 3 美術・音楽・文学の才能が極めて高く、あらゆる芸術の分野で才能を発揮するが、時代がまだついてこれず、生前は酷評を受けることもしばしば。が、死後、爆発的に評価され、その後、世界の芸術を大きく左右し、歴史を変えるほどの影響力を持つ 4 (16%) 4 長いよ 4 (16%) 5 人類始まって以来の最高の知能を持ち、あらゆる概念を一新させるほどの超天才。宇宙のあり方、存在など人類が数千年かけてたどりつくレベルの知識も密かに持っている。ただしあまりに天才すぎて、周囲からは変人扱い。人間関係に悩むことも多い 2 (8%) 6 超人気スター。世界中に名を知らない者がいないほどの人気。死ぬまで人気は衰えることがなく、芸能界でもチヤホヤされるが、超多忙で実生活は厳密に管理され、店で買い物すればすぐ多くの人に囲まれる日々 2 (8%) 7 いやいいです・・・ 1 (4%) 8 もう一度、同じ自分に生まれたい 1 (4%) 9 大したとりえもなく、波乱万丈な人生を送ることもなく、大して面白くもない仕事で年収は400万くらい。一生独身で、ほとんど友達もいないが、自分の趣味に興じる分にはまったく支障がなく、一生趣味を生きがいにして生きる 1 (4%) 10 世界一の美女と絶賛され、一生、超ハイレベルな異性にこと欠くことはない。が、トラブルは多く、結婚離婚を繰り返す人生。 0 (0%) その他 投票総数 25 ※同じ発信元からは、『43200秒(=半日)』間を置かないと投票出来ません。 ※『その他』から選択肢を追加 本スレ: 次、生まれ変わるとしたらどれ? http //changi.2ch.net/test/read.cgi/yume/1226031311/ 【トップページ】 名前 コメント すべてのコメントを見る
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元ガチ勢、初心者に生まれ変わる 重要人物 モンスター コメント ピッコマ(現:カカオピッコマ)に配信されている、原作:Step on a LEGO、DUBU (REDICE STUDIO)によるウェブ漫画作品。 重要人物 ダイケンキ:淀水アムロ タイプの名前と剣技が覚える モンスター スピアー:殺戮蜂(キラー・ビー) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/wiki9_nurupo/pages/227.html
#blognavi 775 本当にあった怖い名無し New! 2006/05/07(日) 19 22 59 ID IJRg/ULxO 老衰で愛猫を亡くして一年が経ちました。 昨日、親からはぐれて住宅街に迷い込んだのであろう子狸(もしかしてアライクマ)を保護しました。 このスレを見て、天国に旅だった愛猫の代わりに、この子を立派な猫として育てること決心しました。切なくぎりがたく、愛情あふれる猫に。 この書き込みが完了した瞬間から猫になる。猫よ! 776 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/05/07(日) 19 30 18 ID ogM2sgtU0 いや無理だからw 777 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/05/07(日) 19 31 57 ID EI8IC/vz0 無理だwwww カテゴリ [△▲▲猫だけにみえるもの・15▲▲△] - trackback- 2006年05月07日 20 07 26 名前 コメント #blognavi
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1.朝起きて最初にする事は? 2.あなたの職業はなんですか?それはどんな仕事ですか? 3.どんな相手と付き合ってみたいですか? 4.自慢できるところはどこですか?具体的に 5.どんな格好してみたいですか? 6.どこに行ってみたいですか? 7.もしも本当に異性に生まれ変わったとしら自分と付き合いたいですか? 8.このまま生まれ変わったままでいたいでか?それとも元に戻りたいですか? 9.このバトンを5人に回してください
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即神仏(OCG) 速攻魔法 自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して墓地へ送る。 魔法
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20:黒井 2011/12/31(土) 04 54 40.11 ID 3ealI8F6O [新しい自分に生まれ変わる女神オーヤの茄子の術] ※月の欠けてゆく期間の水曜日の夜に行う [用意するもの] •茄子9本 •赤ワイン •針 •深めの大きな皿 [術のかけ方] 1.茄子9本のそれぞれの皮に今の自分のどういうところが嫌いで、 どのような自分に変わりたいかを簡潔に要点のみを刻む。9つの茄子に9つの変わりたい願いを刻む 2.深めの大きな皿に赤ワインを入れる。その中に一本ずつ茄子を入れて、 茄子全体に赤ワインがつくように何度も皿の中で転がす。 茄子を転がしながら呪文を唱える。そのとき、自分の欠点や嫌いなところが消えて新しい自分になっている姿を念じる。 「へクア・オーヤ!あなたの神聖な果物と野菜を捧げます。突然の嵐のように私の欠点を吹き飛ばし、洗い流し、変容の炎により私を浄め生まれ変わらせたまえ」 3.これを茄子9本分繰り返す。呪文は9回唱えることになる 4.赤ワインがついた茄子のうち一本は何らかの方法で調理してできるだけすぐに食べる そのときに再び呪文を唱え、新しく生まれ変わった自分をありありと視覚化する 5.残った八本の茄子は夜のうちに誰にも見られないように家からできるだけ離れた場所に埋める。 一本埋めるごとに先述の呪文を唱えること 皿に残った赤ワインは茄子といっしょに埋めて良い(または川にながす) 術が終わったあとも自分の欠点が気になったときには心の中か小声で呪文を唱える。
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□ あの時永遠に分かれたはずの1人と1匹が、狂った運命の歯車を経て、再び出会った。 □ あれは、窓から差し込む日差しが眩しい日だった。 ずっとモンスターボールの中に入れられていた私は、初めてトレーナーと出会うことになる。 ――ツタージャ、君に決めた。 帽子の裏から煌めく瞳が印象的な少年が、最初にかけてくれた言葉だった。 それからはトウヤという少年と共に、野生のポケモンと戦いを繰り返した。 戦いは最初は好きではなかった。 それでも、段々と強くなるのは嬉しかったし、何より強くなった私を見て嬉しそうにしているトウヤを見るのが好きだった。 □ 「では、始めましょうか。」 戦いが始まる前とはとても思えぬほど、静かな空間だった。 そして、戦いが始まる前としか思えぬほど、冷たくて張りつめていた空気が充満していた。 トウヤの目の前にいるのは、かつては捨てたポケモン。 だが、必要になったのだから再び捕まえて使う。 一度捨てたポケモンを再び使うような行為に対する、良心の呵責などは彼は持ち合わせてはいない。 ただ必要だから捕まえる。それだけの話だ。 トウヤは元の世界では、理想のメンバーを作るために厳選に厳選を重ね、タマゴから念入りに育て上げていた。 だが、この世界では配られたカードと己が能力だけで勝負するしかないため、それは許されざる行為だ。 ただ、世界の違いを理由に「トウヤ自身にとって必要なもの」をアップデートさせただけ。 そこに善も悪も見出さない。 出会ってなお、そのような態度を貫くトウヤが、ジャローダはどうしようもなく憎かった。 悪いことをしたと謝罪するわけでもなく、仕方が無いことだと正当化する訳でもない。 ただこの場で必要だからという理由で彼女を捕まえようとする元トレーナーが、ただひたすらに憎かった。 「オノノクス、『りゅうのまい』」 トウヤの指示に則り、再び舞い始める。 それに対してジャローダもまた、『つるぎのまい』で自身の攻撃力を上げる。 2体のポケモンが舞う。 その瞬間、草原は両者を彩る舞台に変わる。 どちらも大柄なポケモンだというのに、ドタドタした不細工さを感じさせない。 洗練されてなければ決して作れない、流麗さを見せる。 初手は互いの強化だけに終わる。 ここまでは普通にあることだ。 問題は次のターンから。 先陣を切ったのは、ジャローダの方だ。 元々レベル差があることに加えて、速さに定評のあるポケモンだ。 1段階素早さが上がったオノノクスを以てしても、その速さには勝てない。 そして素早さが高いということは、相手が戦術を練る間もないまま、一気に攻め潰すことだって出来るということだ。 ジャローダは、一気に最強の技でオノノクスを打ち倒そうとする。 千を越える戦術を編み出し、万を超えるバトルを乗り越えたトウヤに勝つ方法は1つ。 思考させる間もなく、攻撃力を上げて速攻で叩き潰す。 トウヤの戦略を一番近くで最も多く見て来たジャローダだからこそ、見出した回答だ。 ふとオノノクスの周囲に、尖った形の葉っぱが現れたと思いきや、風が強くなり始める。 くさタイプの物理技の中でも、特に強力な『リーフブレード』だ。 ジャローダが身体を鞭のように振るうと共に、緑の刃がつむじ風に乗ってオノノクスに襲い掛かる。 ジャローダの判断は正しい。 だが、正しいのはあくまで元の世界の話。 この世界でも正しいとは限らない。 「右へ飛んでそのまま回避しろ」 結論から言うと、ジャローダの放った新緑の刃は、オノノクスに決定打を与えることは無かった。 リーフブレードはその威力だけではなく、命中率にも定評のある技だ。 相手が『かげぶんしん』などを使わない限りは、不発に終わるのを期待するのは無理なことだ。 だが、その一撃を凌いだのは、トウヤの運によるものではない。 「オノノクス、まっすぐ突進して『きりさく』。」 トウヤは回避を指示すると思いきや、その逆。 ギリギリまで近づき、ジャローダに攻撃を加えた。 鋭い牙が、その顔を走る。 攻撃が命中するかと思いきや、逆に攻撃を食らってしまうジャローダ。 既にトウヤは、A2との戦いでこの世界の戦いと元の世界の戦いの違いを見抜いていた。 1つは、攻撃の躱し方。 かつてトウヤがいた世界では、ポケモンとの戦いはほとんど決まったフィールドや室内で行われた。 従って、回避する方法も限られる。 だがこの世界ではバトルの境界線などあってないようなものだ。 地形の高低差をバトルに応用するなど、じめんタイプやひこうタイプを除いて普通は行わないことだ。 だが、この世界は平たんな地形の方が少ない。 リーフブレードは直線的な攻撃だと知っていたトウヤは、姿勢を低くして横に躱すことを指示した。 もともとドラゴンタイプには威力が半分になる技だということもあり、ほとんどそのダメージは通らなかった。 比較的シンプルな草原でさえ、攻撃のかわし方、フィールドの使い方の多様性は元の世界とは比べ物にならない。 地面の傾斜や茂みなども、戦いを有利にするために使うことが出来る。 放送前のA2との戦いでは、それを学びきれていなかった。 だからトウヤは街灯を使った攻撃に戸惑わされた。 だが、1度の戦いの身でルールを軒並みマスターできるのは、最強のトレーナーといった所か。 「そのまま突進して『きりさく』 ジャローダの額から身体にかけて、綺麗な一本線が走る。 (片目を狙ったつもりだったが、上手く行かないな……) オノノクスは粒ぞろいのドラゴンの中でも、攻撃力に優れるポケモンだ。 とはいえ、タイプ一致の技でない『きりさく』で、攻撃力も1段階しか強化されてない中、レベルが上のジャローダを倒すことは出来ない。 それぐらいはトウヤも分かっている。 トウヤの狙いは、攻撃だけではない。 彼が接近した理由に、ジャローダの技の中で、1番厄介な『リーフストーム』を使わせないことだ。 狙いは成功し、密着状態では、すぐ近く以外を薙ぎ払う竜巻が撃てない。 それでもジャローダは怯まず、密着状態でオノノクスに『アクアテール』を打ち込もうとする。 「オノノクス、『ドラゴンテール』。」 二匹のポケモンが、くるりと回転して、互いにシッポを打ち合い、バチンと高い音が響く。 洗練されたポケモン同士でしか作り出すことが出来ない、美しい回転だった。 大柄なポケモンだというのに、不細工さを感じさせないしなやかな円運動。 美しいのみならず、竜巻のような激しさも伴う旋回。 超一流のバレリーナもかくやという動きだった。 もしここが観客の集うポケモンコンテストの会場ならば、止むことのない歓声と万雷の拍手が鳴り響いていただろう。 だが、ここにはそのような反応を示す観客はいない。 唯一の観客であるトウヤは、その様子を観察しながら、次の手を考える。 しかし、みずタイプの技であるアクアテールはドラゴンタイプのオノノクスには半減されてしまう。 対して、ドラゴンテールは素通しだ。 元々の威力に加えて、本来敵を大きく吹き飛ばすことに特化した技。 シッポのぶつかり合いを制したのは、オノノクスの方だ。 翡翠の大蛇は大きく吹き飛ぶ。黄金の巨竜も無傷では無いが、蛇に比べるとダメージは少ない。 2つ目の違いは、技の効果。 本来なら野生のポケモンにドラゴンテールを打てば、はるか遠くに吹き飛ばされてしまい、その時点で戦闘は終了になる。 トレーナーにいるポケモンがいても、ボールに戻さざるを得ず、少なくとも1ターンはそのポケモンと戦う必要は無くなる。 だが、憎しみと殺意をぶつけ合うこの戦いは別。 戦いは継続される。 なので『ドラゴンテール』は戦闘中止ではなく、1ターン猶予を作るために使った。 「オノノクス、『りゅうのまい』」 ゲーチスやA2と戦った時と同様、オノノクスは美しく舞い始める。 「オレの目的の為に協力してくれないのか。残念だ。」 □ あの時は、静かな町に響く噴水の音が、妙に印象的だった。 最初のジムリーダーのポッドを倒した次の日のこと。 突然トウヤが私に声をかけた。 ――ボクには夢があるんだ。 おもむろに駆け出しのトレーナーは、人間の言葉を話せない私に対して、夢を語りだした。 ――イッシュのチャンピオンになってみたいし、その間に君たちポケモンのことを沢山知りたい。それがボクの生まれた意味だと思うんだ。 キミはしたいこととかあるのか?なんて言っても、分からないか。 悪戯っぽく笑みを浮かべるトウヤ。 私は彼の言葉にずっと耳を傾けていた。 あの声はとても穏やかで、でも力強かった。 その時、私にも初めて夢が出来た。 初めて出会った仲間として、彼が見る夢の果てを見届けるということだ。 □ 鳴き声一つ上げず、それでも冷たい怒りを胸に抱き、ジャローダは迫って来る。 「オノノクス、『きりさく』」 ジャローダが戻ってくると、トウヤは早速自分のポケモンに指示を出す。 密着状態ではなくなったので、全身を震わせ、リーフストームを撃つ構えを取る。 クラウドと戦った時と同様、緑の竜巻が吹き荒れー――無かった。 ジャローダはトウヤの戦術を読んでいた。 最初に能力を上げたのち、牽制攻撃を入れて相手を崩し、敵トレーナーが第二撃に備えてカウンターを狙ってくる。 だがトウヤは相手の誘いに乗らず、トドメを刺す直前に能力が上がる技を使い、勝利への道を確実にする。 カウンターが不発に終わり、動揺したトレーナーが最も強い技を出そうとする瞬間、技を食らう前に高速の一撃を当てる。 ジャローダには知らぬことだが、トウヤのオノノクスと、ゲーチスのバイバニラとの戦いは、まさにその戦術を体現したようなやり方だった。 『りゅうのまい』を使って強化し、『きりさく』をバイバニラに入れて、トドメを刺す前に『りゅうのまい』でオノノクスをさらに固める。 そして動揺したゲーチスが『ふぶき』を撃たせようとした瞬間、その隙を狙って確実にトドメを刺した。 だからジャローダは、『リーフストーム』を撃とうとすればその前に『きりさく』が来ると読んだ。 そのため彼女が撃ったのは、二度目の『リーフブレード』。 威力よりも命中率を重視した一撃を選んだ。 刃を纏ったエメラルドの光線が、オノノクスを貫こうとする。 同じ技を2度使うという、裏をかいた戦術を取った。 だが、トウヤはそれさえも読んでいた。 砂埃が舞い上がる。 高速の刃が砂煙の中に浮かび上がり、回避が容易になる。 オノノクスはじめんタイプの技を備えていないのに、どういうことか。 答えは簡単だ。 トウヤは最初からジャローダにではなく、地面に目掛けて『きりさく』を撃つよう指示を出した。 この地面の土は粒が軽く、技の一つでも打てば簡単に煙幕が起こるとトウヤは踏んでいた。 フィールドの多様性は、元の世界とは比べ物にならない。 フィールドごとに最適解が変わる戦いの条件を、トウヤは活かしきっていた。 「右から回り込んで、『ドラゴンテール』」 自然の恵みを借りた斬撃が砂煙に飲まれた頃には、既にオノノクスは近づいていた。 ジャローダはあくまでトウヤに野に放されるまでの間しか、彼の戦術を知らない。 言い方を変えれば、彼女の知っている最強のトレーナーは、さらに実力を上げていた。 今度はアクアテールで対抗する間もなく、大きく吹き飛ばされる。 □ ――おめでとう。これも君が頑張ったからだ。 ――これからもよろしく頼むよ。ツタージャ。いや、ジャノビーだったか。 あれは、今みたいにすなあらしが激しい場所だった。 これほど砂埃が舞う場所など生まれて初めてだったので、粒子の鋭い砂が襲い来る痛みよりも、4ばんどうろのその光景に見とれていた。 その頃には経験を積み、ジャノビーへと姿を変えた。 段々とトウヤの腕も上がり、ジムリーダーのバッジも増えて行った。 だけど、その時私は1つの不安がよぎった。 進化して、姿が変わった私を、トウヤはこれまでのように受け入れてくれるのだろうか。 私はトウヤを信頼していたし、彼も私を信頼していたからこそ、それが怖かった。 だが、それがすぐに杞憂だったことだと分かる。 ――ベル、僕はね、成長するってのは、変わることだって思うんだ。ポケモンも人間も…いつまでも同じじゃいられないし、子供のままじゃいられない ――子供のままじゃ…いられない ――だけど、どれだけ成長したってベルはベルだし、フタチマル…いや、ラッコくんはラッコくんだよ ――ありがとう、トウヤ。そうだよね…変わることを怖がってちゃ…だめだよね その後すぐに戦った、トウヤの幼馴染の言葉を、私はモンスターボール越しに聞いていた。 あの時の言葉だけで、彼は進化した私を、変わった私を受け入れてくれているのだと知った。 嬉しかった。たとえ私より強いポケモンを彼が捕まえたとしても、ずっとそばに居たいと思った。 □ 「オノノクス、『りゅうのまい』」 吹き飛ばされ、攻撃範囲の外に追いやった瞬間、自分のポケモンを強化させる。 余裕を見せつける訳ではない。 トウヤは常に、確実に勝つ手法を練り続ける。 そのため彼を相手にしたトレーナーもポケモンも、徐々に追い詰められていく。 まるで羽をむしられ、足を切り落とされ、逃げる手段を1つずつ削がれてから料理される鳥のように。 この真綿で首を絞められているような状況を打破するには、とにかく攻撃するしかない。 たとえそれが読まれている行動だとしても。 ジャローダが身体を居合抜きのような軌道で振る。 辺りに、鋭い葉を纏ったつむじ風が巻き起こる、 葉の量も、風の勢いも、2度打ったリーフブレードとは比べ物にならない。ジャローダのとくせい『しんりょく』と、彼女の性格『れいせい』により、さらに威力は上がる。 それを最強まであと一歩の所まで育てられたポケモンが使うのだ。 当たれば、威力半減の壁など簡単に破り、オノノクス程度簡単に倒してしまうだろう。 辺りに凄まじい風が吹き始める 100キロ以上の体重を持つオノノクスはともかく、トウヤは立っているのでやっとだ。 吹き始めの風でさえこの威力だから、もう数秒まてば全てを吹き飛ばす台風のような攻撃になる。 あくまで技を出し切ればの話だが。 「オノノクス、『きりさく』」 それでも表情一つ変えず、帽子を押さえながら指示を出す。 3段階素早さを増したオノノクスの牙は、ジャローダを技名通り切り裂く。 惨めなものだ。 どんな技でも、相手に届かなければ意味が無い。 リーフストームもはっぱカッターも、命中する前に押し切られてしまえば、実質的な威力は同じゼロなのだ。 トウヤでなくても分かる、単純ゆえに覆せない道理。 素早さの3段階上がったオノノクスが、軍配を上げる。 これこそが、トウヤがジャローダに見切りをつけた理由。 素早さが取り柄のジャローダなのだが、彼女の本来の性格により、どうしても肝心の素早さが落ちてしまう。 もしそれがなければ、いくら素早さが底上げされたからとは言え、オノノクスに後れを取ることは無かった。 いや、そもそもの話それがなければ、この戦いが起こることは無かったのだが。 「ダメだ。いくら追い詰められたからと言って、何も考えずに大技を出したら。」 崩れ落ちたジャローダの前で、冷たい声が響いた。 何も考えずに大技を出してはいけないとは分かっていても、それしか打開策が見いだせなかったのだから仕方がない。 超一流のプレイヤーとは、得てして戦いにおいて、『してはいけないこと』を相手にさせる技術に長けている。 嵐が止むと、トウヤは近づきモンスターボールを投げる。 そこから光が出て、ジャローダが吸い込まれる。 (嫌だ!!嫌だ!!一度捨てられた相手なんかに、仕えたくない!!) □ どこで道を間違えたのだろう。 どこで私達の関係は壊れ始めたのだろう。 どこで私の思い通りにならなくなったのだろう。 私がジャノビーからジャローダへと進化してからだろうか。 Nとゲーチスを倒して、プラズマ団を倒壊させてからだろうか。 トウヤが新しい物を見ても歓声を上げなくなったからだろうか。 いつからかは分からないが、私とトウヤの間の亀裂は広がって行った。 いつからかは分からないが、トウヤの一人称『ボク』から『オレ』に変わり、戦いに出してもらえる回数がだんだん減って行った。 それからだろうか。 周りのポケモンたちに、きらきらした瞳の者が減って来て、何かに怯えていたり諦めていたりした目をする者が増えてきたのは。 それでも、私はあの言葉を信じた。 ――だけど、どれだけ成長したってベルはベルだし、フタチマル…いや、ラッコくんはラッコくんだよ 信じようとした。 初めて出会った時からどれだけ変わっても、トウヤは私の信じるトウヤだということを。 決して私の目の前からいなくなったりしないと。 決して私をバトルから外すことはあっても、野に放すことなどありはしないと。 変わることを恐れてはいけないと教えてくれたのはトウヤなのだから。 □ モンスターボールは揺れ、吸い込まれたかと思ったジャローダは出てくる。 (まあ、仕方ないか……) トウヤが持っているのは、ハイパーボールのような成功率が上がるものではなく、一番ありふれた赤白のボール。 1手でゲットすることが出来るとは思わない。 むしろ簡単に捕まえてしまえば、態々バイバニラを捨てた意味が無くなる。 ジャローダはその想いに応えるかのように痛む体を鞭打ち、立ち上がった。 「オノノクス、『きりさく』。ただし直撃はさせるな。」 竜の鋭い牙が、蛇の身体を掠める。 ジャローダが躱したからではない。トドメを刺さぬよう、ギリギリまで削ろうとしている。 勝利を確実なものにするために、少しずつ、少しずつ逃げ道を潰していっているのだ。 嘗められたものだと思い、同時に嘗められても仕方がないほどに追い詰められていると自覚する。 技も弱点も全て見切られ、相手の手の内はいまだに未知数。 はっきり言って、ジャローダはどうしようもなく詰んでいる。 20以上のレベルの差など、あってないようなものだ。 残っているものは、かつてのトレーナーへの復讐心。 愛してくれたはずなのに、何のためらいもなく野に返した恨み。 トウヤに対する激しい敵意。 だが、そんなものには意味が無いとジャローダというポケモンは分かった。 どんな感情でも受け止める相手がいなければ、けだものの遠吠えと変わらない。 事実、トウヤはジャローダの敵意も憎しみも分かっているが、心には届いていない。 たとえポケモンがどう思っていようと、必要だから捕まえる。それだけしかない。 そして、ジャローダにはもう1つ分かったことがあった。 トウヤのことばかり考えても、勝てないということ。 事実、彼女の一時の主であったホメロスは、自分を捨てた相手であるウルノーガへの恨みを抱き続けた。 だが、かつての主への憎しみを募らせるあまり、己を鑑みることを気付かず、その怨嗟の刃を届けることが出来なかった。 だが、最後の最後でそれに気付けたことで、「道化のホメロス」でもなく「魔軍司令ホメロス」でもなく、初めて「聖騎士ホメロス」としてその手を動かせた。 何度目か、オノノクスの牙がジャローダを裂こうとする。 その時だった。 竜の水月に、彼女の尾が刺さったのは。 (分かったわ。ありがとう。) ほんの一時、愛情なんて無かったはずだが、トウヤ以外に何かを教えてくれた主人へ感謝の言葉を告げる。 「グルルル……」 タイプ相性の悪い一撃とは言え、急所に当たったためオノノクスはうめき声を上げる。 ジャローダは『カウンター』は使えない。 だが、彼女がトウヤではなく、ホメロスのポケモンとして戦った時に、クラウドから似たような技を受けた。 トウヤに勝つには、トウヤから学んだことではなく、この世界で学んだことを使わねばならない。 それを分かった彼女が、即興で編み出した技だ。 「オノノクス、『ドラゴンテール』。」 ジャローダが使わないはずのカウンターを、しかも合わせ技で撃ったことに、トウヤは僅かながら驚く。 目の色が僅かながら変わったトウヤが、シッポ攻撃を出すように指示する。 それをジャローダは、姿勢を低く、さらに低くさせて躱す。 彼女にとって、ホメロスは信頼したトレーナーなどではない。 ホメロスにとって彼女はウルノーガを殺すための道具でしかなかったし、それは使役される側にとっても同様だった。 それでも、短い間に確かに学んだことはあった。 その経験は、確かに彼女の物になっていた。 常に敵を観察し続け、死角を、弱点を探ること。 ホメロスはミファーの、クラウドの隙を突くためにそれを怠らなかった。 頭の上を、竜の尾が走ったのをトサカの感触だけで確認した瞬間、さらに技を撃つ。 「右へかわせ、オノノクス。」 トウヤはジャローダが超低姿勢の超至近距離でリーフブレードを撃って来ることを察知し、右へ飛び退くように指示する。 だが、『きりさく』と『リーフストーム』のぶつかり合いの時とは逆に、トウヤの指示の方が一手遅れた。 直撃とは言い難いが、緑色の光線がオノノクスの脇腹を掠める。 最初に使った『つるぎのまい』の効果はもう切れていたが、それでも威力を発揮した。 ――それでも! 俺たちは前を向いて生きていくしかねえんだよ! 敵の竜巻を食らい、朦朧とした意識の中でも、覚えている言葉。 ホメロスの仲間の人間が言っていた。 トウヤ1人だけに目を向けていては、復讐は成功することは出来ない。 だから決めた。 だから目標の敵ではなく、前に向かって走ることを。 復讐の対象ではなく、空へ向かって飛ぶことを。 「オノノクス、『きりさく』。」 動きが変わったジャローダ相手でも、トウヤは攻撃を加えることを忘れない。 しかし、ジャローダは分かっていた。 トウヤの目的が自分にトドメを刺すことではなく、削ることにあることを。 逆に言えば、防御しなくともこの攻撃で戦闘不能になることはないということだ。 無抵抗のまま、牙の攻撃を受ける。 ジャローダの目論見通り、それで勝負が決することは無かった。 その間に、リーフブレードを撃つ。 オノノクスにではない。地面にだ。 技を撃った反動で、天高く舞う。 クラウドが撃った竜巻で巻き上げられた感覚を思い出し、身体をしならせ高く高く高く。 くさタイプのジャローダが、ひこうタイプでもあるかのような戦術をとって来るのは、トウヤとしても予想外だった。 ジャローダは分かっていた。 トウヤとの戦いでは、安全地帯は無い。 何処へ逃げてもその攻撃を当ててくる。 ならば、自分から安全地帯を作れば良いだけだ。 オノノクスの技に、ここまで飛んだ相手を倒せる技は無い。 今度は一転してジャローダの攻撃のチャンスだ。 トウヤとオノノクスがいる場所に、尖った葉が舞い始める。 彼女は地面に落ちた後のことなど考えてない。 ただ、この一撃を成功させればいい。 否。たとえこの一撃を外したとしても、地面に落ちる前に自らの尾を頭に刺し、自決するつもりだ。 天空から、身体を回転させ『リーフストーム』の構えを取る。 一度撃ってしまったために、攻撃力は減退しているが、それはとくせいの『しんりょく』でカバーする。 今度はオノノクスが『きりさく』で反撃できる位置にはジャローダはいない。 彼女の、回答の時間だ。 □ ――ここでお別れだ、ジャローダ。オレに着いてきても、オレはお前をもう二度とボックスから出さない。 私が恐れていたトレーナーの変化は、最悪の形で現実のものになった。 人間にしろポケモンにしろ、既存の関係を次々に切って行き、ついには旅の初めから繋がり続けた私との縁まで切った。 あの時は心の底から、裏切られたと思ってトウヤを憎んだ。 その意図は分かっていたからこそ、猶更許さなかった。 でも、こうしてみると分かった。 私は、トウヤを怨み切れていないのだと。 一番憎かったのは、変化を恐れて内側から変わり切ることが出来なかった自分自身なのだと。 クラウドとの戦いだってそうだ。 もし変われていたら、ホメロスは負けずに済んだかもしれない。 こんな世界で、道具として使わせたマナ達は許せないが、私が変わるチャンスをもう一度くれたことだけは感謝しよう。 これで、私の物語を終わらせる。 □ 「ジャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアァァァ!!!!!!」 天まで轟くほどの雄たけびと共に、リーフストームが撃たれた。 今、ジャローダは進化ではなく、変化した。 さなぎが蝶へと変わるのではなく、蝶が飛べる高さをさらに上げた。 太陽を背にし、天空を手にした深緑の蛇は、さながらケツアルコアトルといった所か。 とくこうが減ったとはとても思えないほど、凄まじい竜巻が吹き荒れる。 それは台風のごとく、既に荒れ果てていた草原を巻き上げる。 モンスターボールも、オノノクスの攻撃も届かない。 ただ1人と1匹は、翡翠の嵐に飲み込まれるのを待つだけ。 「オノノクス」 風と擦れ合う葉がうるさい中でも、彼の声は静かに響いた。 オノノクスが頭を垂れた。 天まで飛ぶという奇跡の蛇を前に、諦めの姿勢を見せているかのように見えた。 突然、項垂れている竜は首を上に振り上げる。 その勢いで、すぐ近くにいたトウヤをはるか上空に飛ばした。 ジャローダは気づいていなかった。否、忘れていた。 ポケモンはただ戦いをするために使われるばかりではない。 人間の足では登りにくい崖や、渡ることのできない海を通るための乗り物としてもポケモンは使われる。 今トウヤは、オノノクスを戦闘用ではなく、竜巻を突破するための道具として使った。 普通ならあり得ないことだ。 一歩間違えれば、竜巻に切り裂かれるか、地面に叩きつけられるかして、命を落としてもおかしくない。 勿論、並のトレーナーが決して為せる技ではない。 発想力とポケモンへの知識、どんな状況でも揺るがない度胸。それと人間離れした身体能力を兼ね揃えるトウヤだけが、空を飛ぶジャローダに近づけた。 事実、彼の服のあちこちが小さな裂け目が走っていた。 「ありがとう。ジャローダ。」 竜巻を越えて、目の前に来たトウヤが口にしたのは、礼の言葉だった。 礼儀だから言うのではなく、心から感謝を込めた礼の言葉だった。 彼女が殻を破ったことで、越えた壁を、トウヤはことも無く乗り越えた。 ジャローダは首に尖った尾を刺して、自決しようとする。 だが、その時間など、今さらトウヤが与えてくれるはずもない。 モンスターボールを投げたトウヤは、満面の笑みを浮かべていた。 その笑みはひどく歪んでいたが。 「俺に生きる喜びを教えてくれて、ありがとう。 強いポケモンを工夫して捕らえる喜びを思い出させてくれて、ありがとう。」 (――憎い!!私はあなたが憎い!!骨まで憎い!!!!! そこまで命を懸けて捕まえようとするなら!!!!なぜあの時逃がした!!!!!! 嫌だ!!!嫌だ!!!!!私を一度捨てたトレーナーに道具として扱われるなんて!!!!!!) 「■■■■■■■■■■■■■■――――――――!!!!!!!!」 吸い込まれながら、最後の悲鳴を上げた。 モンスターボールは僅かに揺れた後、静かに光り、ポケモンをゲットしたというサインを示した。 □ 久し振りの感覚だった。 モンスターボールの中の、暑すぎず寒すぎず、持て余すほど広くも無く、窮屈なほど狭くも無く。 でも、そう感じる気持ちでさえ、今の私には煩わしかった。 どんな恨みを募らせても、未来への願望を抱いても、結局どうにもならないのなら。 ココロカラドウグニナレバイイ。 □ 久し振り感覚だった。 かつてレシラムを捕まえた時に感じたような、胸が熱くなる高揚感。 だが、それでもトウヤの胸の内には、煮え切らない感覚があった。 それが何なのか、彼は勝手に解釈した。 恐らくジャローダで、出会ったことも無い強者と戦えば、もっと気分が高揚すると考えた。 (後はこの2匹を回復させれば良いか…。) 地面に叩きつけられる寸前に、オノノクスがトウヤをキャッチする。 「じゃあ行こうか。」 トウヤはオノノクスをボールに戻す。 勝つには勝ったが、オノノクスのダメージも少なくは無かった。 A2との傷も残っているため、今度はモンスターボールの中で待機させることにした。 ジャローダを捕まえたモンスターボールを、鞄の中にしまい込む前に、一言口にした。 「ジャローダ。あなたの気持ちは分かる。でもオレに必要なのは過去じゃなくて未来なんだ。 オレが生きる未来のために、また協力してもらうよ。」 最後にジャローダが吸い込まれた時、トウヤとジャローダは目が合った。 その視線からは、言いようもない怨嗟と憎悪が伝わって来た。 彼女が放ち続けた感情は、最後の最後でトウヤに届いていた。 最も、届いただけだが。 【E-3/草原/一日目 昼】 【トウヤ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:全身に切り傷(小)高揚感(小) 疲労(大) 帽子に穴 [装備]:モンスターボール(オノノクス)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト、モンスターボール(ジャローダ@ポケットモンスター ブラック・ホワイトチタン製レンチ@ペルソナ4 [道具]:基本支給品、モンスターボール(空)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト×1、カイムの剣@ドラッグ・オン・ドラグーン、煙草@METAL GEAR SOLID 2、スーパーリング@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて [思考・状況] 基本行動方針:満足できるまで楽しむ。 1.Nの城でポケモンを回復させる。 2.自分を満たしてくれる存在を探す。 3.ポケモンを手に入れたい。強奪も視野に。 ※チャンピオン撃破後からの参戦です。 ※全てのポケモンの急所、弱点、癖、技を熟知しています。 ※名簿のピカチュウがレッドのピカチュウかもしれないと考えています。 【ポケモン状態表】 【オノノクス ♀】 [状態]:HP1/8 [特性]:かたやぶり [持ち物]:なし [わざ]:りゅうのまい、きりさく、ダメおし、ドラゴンテール [思考・状況] 基本行動方針:トウヤに従う。 1.トウヤに従い、バトルをする。 【ジャローダ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]HP 1/10 人形状態 [特性]:しんりょく [持ち物]:なし [わざ]:リーフストーム、リーフブレード、アクアテール、つるぎのまい [思考・状況] 基本行動方針:もうどうでもいいのでトウヤの思うが儘に Back← 110 →Next 108 Magical Singer 風と空と太陽と 時系列順 109 SPA! 投下順 111 085 ……and REMAKE(前編) トウヤ 115 シルバームーン